ブログに書くのが少し遅れましたが「宇宙戦艦ヤマト」の真実を読みました。あのとき何があったのか、当事者からの言葉がひとつの本にまとまっていてとても価値がありますね。
文字が大きめでそんなに厚い本ではないしヤマトに興味があれば一気に読めます。
前半はシンプルに宇宙戦艦ヤマトが作られる過程
最初の1/4くらいは豊田さんがアニメ業界に関わっていく話でこれだけでもなかなか面白い。ヤマトとは別にこうした当事者によって語られるアニメの歴史を読んでみたくなります。
そしてヤマトに関わっていき最初はどんなSF設定をしたか、それがどういう風に今のヤマトになっていったかが書かれている。
このあたりのお話はこれまでいろいろなところで断片的に見たことがあったけどこうして本人によってまとめられているのがすごくありがたい。
さらば以降のストーリーや設定も何をヒントにしているのかも書いてあっておもしろく読めます。
さらにヤマトだけでなくいろんな作品の話もあって興味深いです。
後半になると制作過程だけでなくいろいろと
前半はヤマトができていく過程が主なお話だけど、後半になるとそれだけではなくなってくる。
プロデューサーだった西崎義展がどんな人間でいかにふりまわされたかの話になってくる。
なにが世間に受け入れられそうか見分ける力や人を巻き込む力とかを認めながら、でもアニメやSFの知識が足りていないところやお金のことそして人柄に関して不満がいっぱい。
でもぎりぎりでただの悪口だけにはならないように書いてある。
歴史や音楽などにも広い範囲での知識量があるのは作家として当たり前なんでしょうけどさすがです。
でもところどころヤマトに関して記憶違いがあったりしますね。こういうのは編集者が治してもらうようにするか注釈を入れるとかしてほしかった。難しいんだろうけど。
そして原作者問題
全体から見るとページ数は多くない。私は完全な答えはわからないけど、豊田有恒さんの言い分もよくわかります。
ヤマトのような多くのスタッフがアイデアを出しあった作品は誰か一人を原作者とするのは無理なんでしょうね。
この本を読むと豊田有恒さんもストーリーや設定の根底の部分を考えてるのでやっぱり「原作者チーム」って考え方がいいのかなあと思います。
2199という作品を作るにあたってクレジットをどうするのか出渕裕さんはなんとかしようとしていたけどかなわなかったこと、松本零士さんも理解を示したらしいことも確認できた。
これはあの当時の宇宙戦艦ヤマトという作品と、少しだけど同時期の他のアニメの制作の顛末のことがわかる本。
不勉強なのでよくわかっていませんが当事者によるこうした本はまだまだあるのかな?アニメ史の資料としてもこういう本がたくさん出版されるといいですね。